子だぬきの知恵(広島地区のお話)

公開日 2009年04月01日

広島の西の丸須という土地のお話。夜更けにお爺さんが歩いていると、娘が泣いているのに会いました。

「シクシク・・・、荷物が重くて歩けません。」
「そりゃあ、気の毒に・・・。持ってあげよう。」

ところが、娘のお尻からシッポが出ています。

「タヌ公の仕業だな。」

お爺さんは、娘めがけて荷物を投げつけました。娘はひらりと身をかわしたはずみに、川へドボンと落ちて子だぬきの姿になりました。

子だぬきの知恵

「やれやれ・・・。おや、橋が二つあるぞ。さてはさっきのタヌ公だな。」

お爺さんは石を二つの橋に投げつけて、コツンと鳴ったほうをスイスイと歩いて帰りました。お爺さんが帰って仏壇にお参りしようとすると、阿弥陀様が二つ並んでいます。

「ははーん・・・。うちの阿弥陀様は私が鐘をチーンと鳴らすと、エヘンとおっしゃいますね。」

チーン

「エヘン!」
「このいたずらタヌ公め!」

そう言って、エヘンと言った阿弥陀様を、おもいっきり叩くと、子だぬきの姿になってあわててにげていきました。

「所詮、小だぬきの知恵じゃ。」

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